15ヶ月前、オーウェン・ライトはハワイのパイプラインで頭部に重傷を負いプロのキャリアどころか生命まで危ぶまれていた。そのオーウェンにゴールドコーストでこのようなドラマが起こると誰が予想しただろう。
一週間前まで、行方さえ知れない状態だったオーウェン・ライトだったが、彼はカムバックの最初のヒートを勝ち上がると、その勢いのままにファイナルまで進むという快挙を成し遂げた。その対戦相手はディフェンディング・チャンピオンで、オーウェンの親友しかもチームメイトのマット・ウィルキンソンだった。
「この試合でどう戦ったら良いのかさえ考えつかなかったんだ」オーウェン・ライト
容赦無く続く戦い、めくるめく波、次々に変わっていくスコア、戦況が刻々と変化していく中でオーウェン・ライトはトップに上り詰めた。このようなドラマの結末をオーウェン本人でさえ予想していなかったに違いない。
「最初のヒートでは緊張したよ。でも試合が始まると上手くやっている自分に気づいたんだ。「なんてことだ、なんか上手くできそうな感じだ!よし勝つしかない!」その結果、ファイナルに進出して僕の大の親友と顔を合わせることになったんだよ。この試合が始まるまではどう戦って良いかすら考えつかなかったのにね」
オーウェン、僕たちにだってこの結果は考えつかなかったぜ。これはサーフィン史上もっとも優れたカムバック劇の一つだと思うよ。昨年、テイラー・ライトがロキシー・プロにて、仲間に担がれて勝利を宣言しているとき、オーウェンは医者の命令も無視して会場に向かい観客席から妹の勝利を涙で祝った。だがそのときのオーウェンは生命が危ぶまれるほどの状態で、外出することさえも無謀ともいえる行為だった。しかし、12ヶ月が経ち、今度は妹のテイラー・ライトがスナッパーロックスの観客席で兄の勝利の瞬間を祝うことになった。この勝利はライトの家族全員にとって最高の出来事となった。オーウェン、君はすばらしいことを成し遂げた。君は私たちサーフィンの世界に偉大なるインスピレーションを与えたんだ!